2012/07/08

「文章読本」「ナインストーリーズ」「告白」読了

六月は結構読書が捗った。




「文章読本」谷崎潤一郎 

読んでいて、目の前で語られているよう。
本文中にも出てきたけど、普段読書をしているとき皆さんはその文章を脳内で音読していると思うのですが、それはどんな声ですか?男?女?他人?自分?私はこの本の地の文のところはゆったりとしたお年を召した男性の声で読んで(聞こえて)いました。丁寧に喋る脳内谷崎でしょうね。声も知らないのに。
普段文章を書きながら推敲したり思案したりしていたことが正当なものだと安心しました、実験してけばいいと思いました。目の付けどころ次第で。

あと、翻訳への疑いも一層なものとなったので、可能なら原文と見比べて呼ぶべきだと。

すごく読んでる週間が楽しかった。おじいちゃんとか先生に会いにいってるような、気分のいいするする耳に入ってくるような文章。漢字で「○○的」とか言わずに、非常に噛み砕いた言葉で説明してくれる。馬鹿にしているのではなく誰にでも分からなければ意味が無いと言う思想が共感できます。
でもこれも一人の意見の本だからなあ。とはいえ、はたして三島由紀夫版や川端康成版に読み進むどうかは疑問。
とにかく、これはおすすめです。




「ナインストーリーズ」J.D.サリンジャー 

読了直後の「テディ」(最後の、9つめの話)のラストの衝撃が尾をひいている。
「バナナフィッシュにうってつけの日」は太陽、砂、海、外は暑い昼間のホテルの部屋の明るさのかんじなどの映像がなんなら匂いまで分かる。日頃から“どうせ死ぬなら春か夏で夜じゃなくて昼がいい”と思っているので、主人公のうってつけの気分のいくつかの項目のひとつくらいは理解できる。

私は未だグラース家という存在を知らない。一人の作家の作品に同じ人物やモチーフが出てくるのは、小説・漫画・映画、にあること。せっかくだからサリンジャーの他のパーツも集めたい。

インターネットって、読んでて話し合いや意見の交換をしたい時に、さしあたって先に読み終わった方の見解が文章としてあるのよね。いいか悪いかでいうと、いい。丸呑みにしない前提ね。いい理由は、「わからないから終わり」にならないから。自分で咀嚼してしまえればそれでいいんだけど、そうでない時。私の場合は、とりあえずこれで次に「フラニーのゾーイー」「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」に読み進めればパーツが集まるのだと知った。



「告白」湊かなえ 

ここですぐに「フラニー」に読み進めるつもりだったが、翻訳文章休憩に日本の現代の小説をはさみたい気分に。
映画の予告は見ていた。評判等からも気になっており、映画を見る行為が苦手なので原作の小説を購入。
復讐の物語です。最初の「聖職者」の一章だけで充分衝撃的なものでした。章で次々に視点が変わっていく。被害者の母にして教師、級友、犯人の母、犯人、犯人、すべての起点である第一章がやはり研ぎすまされています。



で、今はまたごっそり洋物を読んでいる。読了したらまた。
漫画は「ネイチャージモン」7巻(ホルモンだけで一冊終わった&後半は漫画の食リアクション芸となっている)とか「KAPPEI」1,2巻(たいへんな人だ…)読みり。みり みり。

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